食べて「発見」。

2016年中にデートで行きたい、良質ビストロ


Apr 20th, 2016

text_tomoko oishi
photo_kazuhiro fukumoto

この目標は弱気でしょうか…? でもでも、つい先日お正月だと思っていたら、あっという間にGWが訪れ、そしてすぐに夏です。時間の流れの速さに、愕然としますね。私は「ル ボーズ」のパテがとても好きでして、このパテを食べながらワインを飲む、そんなデートができたら素敵だと思っております。というわけで、こんなタイトルに。もしも今すぐ実行できそうな方は、予約を入れてみてはいかがでしょうか?

SHOP INFO
Le Bonze(ル ボーズ)
TEL:03-5565-3055
住所:中央区銀座4-10-1 銀座AZAビル3F
営業時間:18:00〜23:30
定休日:月曜(日曜不定休)
17席

ここから200wほど私事です。
実は以前、ピンポイントな日程で稀少なデートがありまして、日どりが決まった時点で、“あ、ル ボーズに行きたいな”と真っ先に思ったのでした。ですが、ちょうどその日はお店が臨時休業で行けなかった。“一緒にパテを食べること叶わず…”と胸の内でつぶやきましたが、仕方がない。

正直デートって、店選びはそんなに結果を左右しないと思うのですが、好きな人と好きなものを食べるという経験は味わいたいですよね。そんな気持ちに合っていたのが、こちらのパテだったのです。

よくメディアでは、美味しいものを表すときに、“絶品”とか“悶絶”なんて言葉が使われることがありますが、「ル ボーズ」のパテ・ド・カンパーニュ(1,280円)はそういう派手派手しい存在ではありません。ただ、塩梅がとてもいいんです。シェフの青木健晃さんは「作りはとてもベーシック」と言いますが、そのベーシックの完成度が非常に高く、つけ合わせの人参までしっかり美味しい。

豚の腕肉、喉肉、鳥レバーからなるパテは肉肉しすぎず、複雑すぎず。ちょっとだけねとっとしていて、脂の味は奥深いけどしつこくない。ブランデーやポルト酒ではなく白ワインを使用していることにより、キレがよくなっているそうです。

青木さんの奥様は「つくねに近いかもしれませんね」と言い、その言葉通りの軽やかさもあるので、白ワインか泡を飲みたくなる味。パテにはつい赤を頼んでしまいがちですが、そうでないマッチングの妙を知ることができます。

というわけで、落ち着く味わい。そういうものだと相手に美食だと押しつける気もせず、これをつまみにその人が美味しくワインを飲んでくれたらいいな、くらいの穏やかなテンションでいられます。以前、「世界一美味しい◯◯だから!」と食べる前に言われ、噛んでいる最中に「なっ!!」と目を見られ、いいリアクションが返せなかったことをいま思い出しました。このお店では、常に楽で、平和でいられます。

パテだけでなく、美味しいことが当たり前の「ル ボーズ」ですが、シェフの青木さんは銀座の老舗フレンチ「ペリニィヨン」の出身。18年を同社で過ごし、途中1年半はフランスで修行。2003年からは料理長として腕をふるっていました。

その後、2012年に独立し「Le Bonze(ル ボーズ)」をオープン。店名の日本語の意味を聞くと、自分の頭を指差す青木さん。ボーズ=坊主だそうで、しかもフランス語でBonzeはお坊さんを意味するというダジャレな店名!

青木さん手造りのテーブルがいい味を出している店内。「食堂感覚で気軽に来てほしい」とのことで、雰囲気はカジュアルでいて、料理はフレンチの実力派シェフが作るビストロ料理。丁寧な仕事が施されていながら、高くはないので、気負わず通えます。フレンチフライ(540円)やレバーペースト(650円)をつまみながら、カウンターでひとりグラスワインを飲むのもありです。

天井に書いてあるフランス語は、“ビールを飲み過ぎたら、開店時間が遅れちゃうかも”というシェフの落書きとか。実際には、飲み過ぎることはあっても、きちんと開店するそうです。右にあるポスターはお気に入りの自然派ワインのエチケット(ラベル)を引き伸ばしたもの。

旬の素材による“桜マスの炙りと筍のサラダ仕立て”(1,840円)。マリネして炙っただけというマスは半生。塩の量や炙る秒数など、そういうことの塩梅が絶妙なだけで、こんなに美味しくなるのだなと実感します。

“伊達鶏のロースト オマール海老のソース”(2,270円)は、フランス料理の古典的な組み合わせ。

「フランス料理の美味しいソースをごはんにかけたら美味しいだろうなあ」というシェフの趣味から生まれた、“牛テールごはん”(2,920円)。赤ワインで煮たり、その後寝かしたり、3日間をかけ仕上げられた牛テールを十八穀米でいただきます。フォンドボーにごはんが進む!

奥様が選んでいるというワインは80本を常備。基本フランスワインだけれど、たまに国産も入れるそう。選びの基準は“美味しく、楽しく”。どこにでもあるものよりは、家族経営の小さなドメーヌのものが多い。

左から、香りは甘いけれど辛口の白ワインのような味わいの“クレマン・ド・ロワール・ロゼ”(6,160円)
しっかりとしていてコクのある“ブルゴーニュ・シャルドネ 2011”(6,270円)
エチケットも味わいも日本人女性をイメージして造られたという“ジュテーム 2013”(5,400円)

タイトルで「デートで行きたい!」と言いきってますが、結局のところ、ひとりでも女友達とでも、どんなシチュエーションで行っても満足できるお店。実際のお客の層も幅広く、何でもありな感じで、みなさん気ままに料理とワインを楽しんでいます。

私も先日ワインをほどよく飲んで(3人で3本)、うっかり店にパソコンを忘れ出てしまいましたが、ご機嫌だったのでしょう。そんな楽しい夜を、また数回こちらで体験したいと思います。もちろん、いつの日かデートでも!

※表示価格は全て税込みです。

PROFILE
大石 智子

編集者・ライター。出版社勤務を経てフリーランスに。『GQ JAPAN』『東京カレンダー』『LEON』『メンズクラブ』など男性誌を中心に活動。趣味は海外のホテル&レストランリサーチ。

未知の中国、食べさせます。

内臓に染み渡る、身震い必至のベトナム料理。


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