KEYWORDS

Femvertising/フェムバタイジング


Feb 14th, 2017

Text_Yumiko Sakuma

(出典 donaldjtrump.com

 ドナルド・トランプ大統領が選挙に勝ち、ホワイトハウスのファーストレデイ用のオフィスを使うのは、妻のメラニアでなく、娘のイヴァンカだと発表された直後に、「フェムバタイジング」という言葉を知った。セイディ・ドイルというライターが12月15日に米国版エルに寄稿した記事にこんな文章があった。

「イヴァンカが女性の問題に関与したのは、主にマーケティグ・チームを通じてだ。彼女の仕事はフェミニズムじゃない。フェムバタイジングだ。2014年秋にIvankaTrump.comから発信された後に散々喧伝され、これから発売される彼女の本の基盤になっている#WomenWhoWork のキャンペーンだって、政策の提案ではなく、巧妙なファッション広告のようなものだ」

 フェムバタイジングは、フェミニズム+アドバタイジングの造語である。フェミニズムを売る、という意味である。調べてみると、フェムバタイジングには賛否両論あるらしい。女性のエンパワリング(女性の権力拡大)を商売にするとはけしからん、だまされるな、という論調もあれば、社会における女性の地位の向上の象徴として取り扱われることもあり、女性向けの広告エージェンシー<シー・ノウズ>が開催する「フェムバタイジング・アワード」なるものすら存在する。今年、アメリカで一番広告料が高いとされる年一度の行事、スーパーボウル時に放映されて、話題になった「ドーター」と題されたアウディのコマーシャルも、男女の賃金格差をテーマにしたもので、フェムバタイジングのひとつと言えるかもしれない。

 自らの名前を冠したブランドのトップと、父親の会社の副社長を兼務しながら、3人の子供の母親であるイヴァンカを、フェミニストと勘違いする向きは少なくない。けれど今回の選挙の最中に、イヴァンカ・トランプの会社の元幹部が、同社の働く女性が産休などの福利厚生を使うために戦わなければいけなかったことを暴露するなどのエピソードがあったり、トランプ氏の過去の女性に対する扱いが反女性的だと目されるなど、イヴァンカが、フェミニズムの味方ではないことについては大体の見方は一致しているようだ。

 ティーン・ヴォーグ米国版のローレン・デュカも、「イヴァンカ・トランプは世界で一番パワフルな女性になろうとしている。いい匂いがしそうだからといって、甘くみるべきではない」とツイートした。公私ともに成功し、美しく見えるからといって、女性のパワーを代表することにはならない、という認識は、大方、アメリカの女性たちの間では共有されているようである。


Navigator
佐久間 裕美子

ニューヨーク在住ライター。1973年生まれ。東京育ち。慶應大学卒業後、イェール大学で修士号を取得。1998年からニューヨーク在住。出版社、通信社などを経て2003年に独立。政治家(アル・ゴア副大統領、ショーペン元スウェーデン首相)、作家(カズオ・イシグロ、ポール・オースター)、デザイナー(川久保玲、トム・フォード)、アーティスト(草間彌生、ジェフ・クーンズ、杉本博司)など、幅広いジャンルにわたり多数の著名人・クリエーターにインタビュー。著書に「ヒップな生活革命」(朝日出版社)、翻訳書に「世界を動かすプレゼン力」(NHK出版)、「テロリストの息子」(朝日出版社)。

Big Suits/ビッグスーツ

Gratuity Free/グラテュイティ フリー


FEATURED ARTICLES

Mar 28th, 2017

UNSUNG NEW YORKERS

Vol.21 こんなことができて、人々が喜んでくれる場所

2000年代にはいくつもあった、ブルックリンのDIYスペースが、グリーンポイントやウィリアムズバーグから少しずつ姿を消すようにな...

Mar 23rd, 2017

HOW TO

ジップアップ パーカ Vol.02

スタイリッシュにデザインされた大人なパーカは、きれい目で落ち着きのあるスタイリングを程よくカジュアルダウンするように着こ...

Mar 21st, 2017

CORNERS

Vernon Boulevard

大きな橋や線路が交差するダイナミックな風景が印象的なロング・アイランド・シティだけど、マンハッタンやブルックリンに比べる...

Mar 16th, 2017

HOW TO

ウォーターリネン ジャケット Vol.02

ジャケットを主役にしたコーディネートは、リネンの質感を活かすために、ウェアの素材をまとめて統一感のある着こなしを意識する...

Mar 14th, 2017

NEWYORK LIVES

川村真司「出る杭が謳われる都市ニューヨーク」

最初にニューヨークに移ろうと決めたのは、猫に引っ掻かれたから。アムステルダムの運河沿いの家で、いつも窓から入ってくる野良...

Mar 9th, 2017

HOW TO

ジップアップ パーカ Vol.01

氷雪地帯で生活をしていたアラスカ先住民のイヌイット民族が、アザラシやトナカイなど、動物の皮革でフード付きの上着(アノラッ...


YOU MAY ALSO LIKE